Fortunate Link―ツキの守り手―
第3話:豪華客船でどきどきクルーズ





それは平穏な日曜の朝から始まった。


「シュン。
そういえばあんた宛てに手紙来てたわよ」


ソファーにふんぞりながらだらだら特撮ヒーローものを見てた俺は、母さんの声に振り返った。


「…へ?手紙?」


どうせ近くのCDショップのチラシのたぐいとかじゃないのか。


「ほら、これ」


手渡されたのは、ちゃんとした封筒に入ったちゃんとした手紙だった。

連絡や挨拶さえメールで済まされる時代だと言うのに、なんと珍しい。

表にはしっかり手書きで宛名書きされており、裏返すとなんと、薔薇のような紋様が施された深紅の蝋で封がされていた。


「なんだこれ…」


そういえば何となく封筒の紙も上質で、高級感が漂っている。


(……一体誰が…)


どうにも不気味なものを感じつつ、恐る恐ると封をはがし、その中身を広げた。


『拝啓、初夏の風もさわやかな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

さて、このたび、我が社の保有する客船、セイントマリア号にてYKユニオングループ統合記念パーティーを催す運びとなりました。
つきましては当パーティーに貴殿をご招待いたしたくご連絡を差し上げた次第でございます。

お迎えはご自宅の方まで伺いに参ります。敬具』


読み終えた俺は、ただただ首を捻った。



「…客船?
…パーティー?」


どうやら俺とは縁もゆかりも無いような世界からのご招待のようだ。

どう考えても宛先を間違えてるんじゃないのか…?



その時、家のインターホンが鳴った。

「はーい」とお母さんが答えながら表へと出ていく。

しばらくして、


「シュン。あなたにお客さんよ」


そう言って俺を呼んだ。


「……え?」


「凄く可愛らしい女の子が来てるわよ」


むふっと笑う母さん。

俺は凄まじくイヤな予感を覚えながら立ち上がり、玄関へと向かった。

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