Fortunate Link―ツキの守り手―






まったくしてやられた…。



そう思いながら、深々と息を吐いた。

俺は今、黒塗りの高級セダンの後部座席に乗っていた。

隣には機嫌上々そうなお嬢様。

運転席と助手席には先ほど登場した黒スーツの護衛の男二人。


――あの白石さんとのやり取りのあと。
家の前にはすでに準備周到に車が着けてあり、俺はこの男達に取り囲まれながら車に乗り込まされたのであった。


(……あんな状況で派手に抵抗できんし…)


それに彼女の言葉がやはり気になっていたり…。


「……っていうか、俺、何も用意持ってきてないんだけど」


「大丈夫よ。
着いたら向こうで何でも用意させるから」


さすがお嬢様。
不自由という文字を知らないようだ。


「そういえばどこに向かってるんだっけ、これ」


「大桟橋にある客船ターミナルよ。
もうすぐ着くわ」


その言葉の通り、まもなくして、客船ターミナルの建物と、建物に全く隠れきれないほど巨大な客船の姿が見えてきた。

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