Fortunate Link―ツキの守り手―
『不可逆のはずの流れに逆らい、世の理に干渉し、現実の事象を捻じ曲げる。
捻じ曲げれば歪みが生じる。
その歪みはいずれ本人に返ってくる。
――どんな、あらゆる危険に姿を変えて』
あいつの言ってたあの言葉が頭の奥で、重く響く。
――もし、本当にそうだったとしたら…。
考えて、急に胸の奥が圧迫され、苦しくなった。
その代償を受けるべきなのはアカツキじゃない。
そんなこと断固認めない。
あいつに危険が降り掛かるなんて。
現実を捻じ曲げたせいで、命すら危うくなるかもしれないなんて。
そんな馬鹿げた現実、あってたまるか。
全ての原因は俺にあるというのに。
俺はあいつを守るどころか自分すら守れずに。
それどころか、あいつに助けられてまで。
あいつのツキを使わせてまで…。
『――シュン!!!』
悲痛に叫んでいたあの声が耳の奥でこだまする。
あいつがどんな気持ちでそう呼んでいたか。
過去の事を語ってくれたとき、
『――いつか失うんじゃないかって…怖い』
震えながら言った…。
怯えた声で言った、あの言葉が鼓膜を揺さぶる。
大切なものを失ったことのあるあいつが、どれほどに失うことを恐れていたのか…。
どれほど悲痛にそう思っていたのか。
そんな気持ちすら汲んでやれずに。
あいつの気持ちよりも、自分の気持ちだけで突っ走ってしまって。
――俺は………