Fortunate Link―ツキの守り手―
ターミナルに着くと、俺達は黒スーツの男達に囲まれ先導されるがまま、いつの間にか船のタラップまで来ていた。
「――っていうか」
目の前にそびえたつものを見上げながら、
「でかすぎだろ、これー!」
叫ばずにおれなかった。
まるで海に浮かぶホテルとしか思えない。
近づけば近づくほど迫って来そうに感じるぐらいの圧倒的な存在感を放っている。
「そうかしら?」
白石さんが小首を傾げている。
やはり彼女とは生きる世界が違うんだな、いやがおうにも実感せざるをえない。
「最近ね、うちの両親が経営する会社が海運会社を買収して吸収合併したの。
そこが保有していた客船の一つが、このセイントマリア号。
まぁもともとはイギリス船籍のクルーズ客船だったみたいだけど、二、三年前に買い取って日本船籍になったみたいね」
「ほぇー」
「そーいうわけでー、今回のパーティーはうちの会社の合併記念の祝賀会なの」
そう説明してくれながら船のタラップを渡りきり、まるでデパートか複合施設の中としか思えない広さの船内へと入っていった。