Fortunate Link―ツキの守り手―
膝をついた姿勢のまま、視線を周囲に巡らせる。
「アカツキ!!」
あらん限りの声を振り絞ってその名を呼ぶ。
「居るんだろ!!返事しろよ!!」
求めるがままに腹の底から叫ぶ。
「アカツキ!!!」
何も無い宙に向かって。
「呼べよ!俺を!!」
俺は呼び続ける。
「――アカツキッッ!!!」
叫ぶ視界の隅で、蔑んだ眼差しで見る男の顔が映った。
けれど構わなかった。
まったく気にしなかった。
「アカツキィッ!!!」
喉がひび割れんばかりに。
酸欠になって、目の前が昏くなった。
ぜぃ、と息をつき、ふらつく。
静寂だけが周りを包んだ。
虚しい空気だけが周囲を満たす。
だけどまだまだ諦めるつもりは無い。
強く願うんだ。
どうやっても、あいつを見つけ出す。
馬鹿げてると思われたっていい。
0.1割の運だって引き寄せてみせるから。
「…………愚かな」
風に乗って、男の呟きが耳に届いた。
確かにそう見えるんだろう。
言われたって仕方ない。
それでも……、
――その時、
「………なっ」
男の驚く声が聞こえた。
その向こうがカッと目映く光ったのと同時だった。
俺と男は、そちらを見上げ、息を呑んだ。
信じられない光景があった。
男の背後、その上方に。
青白い、亀裂のような光が、宙に浮かび上がっていた。
まるで……。
空間の割れ目のような。
稲光が空間で静止して、置き去りにされたような。
俺はその非現実な光景を呆然と見上げた。
美しいようで、いびつに歪んだその光を。
そして、悟った。
(………そこか)
無意識に頬が緩んだ。
男は無表情から一転、「しまった」と言わんばかりの表情をしていた。
そして――。
すでに体は勝手に動いていた。
吸い寄せられるようにそこへ向かって一直線に動いていた。