Fortunate Link―ツキの守り手―
雪崩のような光が体を包む。
目の奥で何かが明滅して弾けた。
突然、周囲の空気の流れが変わる。
全てを覆いつくしていた白が急速に引いていった。
湿った空気が肌に纏わりつく。
流れという流れの全てが滞っている感じを受けた。
光が弱まり、辺りの光景がはっきりと見てとれる。
「――ここは……」
呆然としながら呟く。
見渡す限りのぐるりを全て、ゴツゴツとせり出した岩肌に囲まれていた。
まるで洞窟の内部のような場所。
しかし、どこも穴や隙間らしきところは見えないし光も差していないというのに、この場所は真っ暗闇では無かった。
どういうわけか、辺りは仄明るく輝き、その岩肌の表面の陰影を浮かび上がらせている。
(何なんだ、ここは…)
注意深く観察しながら考える。
それでもこの非現実な状況にそれほど驚いてなかった。
非現実続きで、すっかり感覚が麻痺してしまっているせいかもしれない。
そんなどうしようもない症状を自覚しつつ、足を進めてみる。
反響する足音が余計に静寂を際立たせる。
(……誰も居ないのか)
あまりの静けさに否応なしに不安が掻き立てられる。
どこまでも広がる薄暗闇が、得体のしれない何かを隠している気配にさえ感じてしまう。
背中が薄ら寒くなる。
こういう場所は正直苦手だ。
(……?……あれは)
不意に足を止める。
前方の足元を何かがふさいでいる。
立ち止まり、注視する。
転がるように倒れているそれを。
(……横に長くて……手足……頭……?)
ハッと息をのんで、呼吸すら止めて、それを凝視した。
間違いなく、そこにあるのは横たわる”人”だった。
そして――、
「――アカツキッ!!」
認識すると同時に、ほぼ飛びつくようにその体へと駆け寄った。