Fortunate Link―ツキの守り手―


「これは……」


見上げたその先に、岩盤が崩落したような大きくえぐれた跡があった。

その奥はいまだ崩落が続いていて、ガラガラと音を立てて表面を削るように崩れていっている。


「……どうなってるんだ」

アカツキは呆然自失となって、その様を眺めていた。

俺も全く同じ心境だった。

これほどにあちこち豪快に崩壊していく様子を見せつけられては…。
どうすればいいのか分からなくなりそうになる。

それにこの状態だと迂闊に身動きが取れないじゃないか。


「……あっ」

アカツキが突如声を上げた。

「どうした」

「…何か、あそこ明るくないか?」

指差し言う。

俺はその先を追い、見た。

そして同じく「あっ」と声を上げた。

「……確かに」

頷く。


そこはまだ崩れ続けている場所だった。

雪崩れるその奥の部分から微かに明るい光が漏れていた。

(…光が漏れるということは……その向こうに…)


「――もしかして…」

込み上げる歓喜を抑えきれずに呟く。

「……ここから……出れる…?」



一縷の希望の光が差しこんだみたいな気がした。


< 532 / 573 >

この作品をシェア

pagetop