Fortunate Link―ツキの守り手―
「これは……」
見上げたその先に、岩盤が崩落したような大きくえぐれた跡があった。
その奥はいまだ崩落が続いていて、ガラガラと音を立てて表面を削るように崩れていっている。
「……どうなってるんだ」
アカツキは呆然自失となって、その様を眺めていた。
俺も全く同じ心境だった。
これほどにあちこち豪快に崩壊していく様子を見せつけられては…。
どうすればいいのか分からなくなりそうになる。
それにこの状態だと迂闊に身動きが取れないじゃないか。
「……あっ」
アカツキが突如声を上げた。
「どうした」
「…何か、あそこ明るくないか?」
指差し言う。
俺はその先を追い、見た。
そして同じく「あっ」と声を上げた。
「……確かに」
頷く。
そこはまだ崩れ続けている場所だった。
雪崩れるその奥の部分から微かに明るい光が漏れていた。
(…光が漏れるということは……その向こうに…)
「――もしかして…」
込み上げる歓喜を抑えきれずに呟く。
「……ここから……出れる…?」
一縷の希望の光が差しこんだみたいな気がした。