Fortunate Link―ツキの守り手―
引き寄せられるようにそちらへ一歩近づく。
けれど崩れ落ちるその勢いにあまり近づけない。
「――おい。危ないぞ」
後ろからアカツキが注意してくる。
俺は立ち止まり、どうすべきか一人で考え込んだ。
考えた挙句、すぐに決意は決まった。
「なぁ。アカツキ」
振り返り、呼びかける。
「……お前はここでじっとしてろ。危ないから」
アカツキは一瞬驚いたように僅かに目を見開いた。
俺はそれを見て微笑み、踵を返す。
「待て」
後ろから鋭く呼びとめる声。
再びアカツキのほうを返り見る。
「何をするつもりだ?」
強い視線でこちらを睨んでいた。
いつもより強烈な眼光がそこにあった。
「また私に無断で無茶なことをするつもりじゃないだろうな」
乱れた髪も直さずに険しい視線を刺してくる。
なかなか凄味があった。
「そんなことは許さない。そんなことは絶対にさせない」
詰め寄るようにアカツキは俺の方にずいと近づいてきた。
「……だって私はっ」
言い終わる前に。
俺は構わずその背中に手を回し一気に引き寄せた。
たたらを踏むようにアカツキは躓き、寄り掛かってくる。
その隙を逃さず顔を近づけた。
言おうとしたその言葉ごと、強引にアカツキの唇を奪い去った。