Fortunate Link―ツキの守り手―
「何が駄目なんだよ」
アカツキは至極面倒くさそうに問い返す。
白石さんは皺の寄った眉間を指でほぐしながら答えた。
「全部が駄目!全然駄目!
あなた、パーティーにはドレスコードがあるっていうことを知らないの?!」
「――ドレスコード…?」
なんだそれ?と言わんばかりに問い返すアカツキ。
「要は、場にふさわしい格好をしなさいという為のルール。
フォーマル、インフォーマル、カジュアルとあって、それぞれ場所、目的、時間によって着こなしを変えなきゃいけなくて…ってああもうっ、説明するのも面倒くさいし、私がドレスを用意するから、それを着なさい!」
途中で説明するのを放棄した白石さんは、びしっとアカツキを指差してそう告げた。
「ちっ、しゃーねぇーな」
舌打ちしつつも渋々了承するアカツキ。
その様子を見ながら、
「へぇ。女性って色々大変なんだな」
「何、他人事みたいに言ってるの?
男性も一緒よ。服は用意させるから、ちゃんとあなたも正装して来なさいよ」
「……まじか」
思わず面喰う俺。
俺もアカツキ同様、ドレスコードなんか全く知らなかった口だが、ここではどうやら一流社会のルールに従うしかないようだった。