Fortunate Link―ツキの守り手―
俺はそちらを見上げ、固まった。
「――アカツキ?」
疑問形になってしまったのは、一瞬誰だか分からなかったからだ。
アメリカンスリーブとかいう首に掛けるタイプのブルーのドレスを着たアカツキが、颯爽と階段を下りてくる。
よく見ると、ドレスの裾は大胆にも深いスリットが入っており、階段を一段降りるごとにちらちらと白い脚が見え隠れしたり。
しかし、長身でスタイルが良いせいか白石さん同様に着せられている感が無い。
――だというのに…。
「ちっ。
動きづれぇな、これ」
階段を下りてきた途端に言ったその一言が、全てを台無しにした。
「ええー。
あなたが動きやすいのにしてくれって言うから、一番動きやすいのを選んだつもりなんだけど…」
むっとした顔で白石さんが言い返す。
確かに動きやすそうではあるけれど、…そのぅ、えっと、ちょっと大胆すぎやしませんかね…?
「でもとっても似合ってるわよ。
ね?守谷君?」
白石さんが肘で俺の脇を小突き、いきなり同意を求めてきた。
「……え?…いや。…まぁ」
目のやり場に困っていた俺は、それでも頑張ってちらりとアカツキの方を見た。
いつもは眉なしのすっぴん顔が今日はちゃんと眉が書いてあり薄く化粧をしている。
長い金髪は緩く纏め、サイドに流していて。
まぁ目つきの悪さは相変わらずだが、それもちょっとクールビューティーな雰囲気が出ていいのかもしれない。
「……意外と似合っている…かも…」
そう率直な感想を漏らすと、
「意外とってどういうことだ?」
突っかかってくるアカツキ。
「こらこら。二人とも」
俺達の間に割って入ったのは白石さんだった。
「守谷君、どうして余計な一言付けるかな?
月村さんも素直に喜べばいいのに」
俺達二人を眺めて、楽しそうな笑みを浮かべる。
しかし俺達が抗議の声を上げる前に、
「じゃあ、パーティー会場まで案内するわ」
軽くかわす形で、白石さんは俺達を先へといざなった。