Fortunate Link―ツキの守り手―
もしあの話が本当だとすれば、さっきの人は白石さんの本当の父親ではないことになる。
親子として似てないことにも頷ける。
もしかして似てないと思ったのは、先にその話を聞いていたせいもあるかもしれない。
だとすれば何も知らず同じことを思ったアカツキはなかなか鋭いのかもしれない。
「あら。星羅さん」
歩く白石さんを呼び止める声。
見れば、なんだか見るからに上品なご婦人がそこに居た。
「このたびはYKユニオングループの統合おめでとうございます」
「ありがとうございます」
白石さんは頭を下げて返す。
「最近の御社グループの成長は本当に目覚ましいわね」
「南方様のお力添えがあってこそです」
そうそつなく挨拶を返す白石さんは、いつもとは違う、社長令嬢の顔だった。
そしていつの間にやら多くの大人達に囲まれていた。
白石さんは朗らかな笑みを浮かべ、それらの人々に丁寧に対応していく。
そうこうしているうちに自然と白石さんとの距離が離れ、俺とアカツキだけが輪から外れた場所で、ぽつりと手持無沙汰になっていた。
「なんか食べるもんでも取って来る?」
「…そうだな」
そうして、二人で食事の並ぶテーブルの方へと向かい、適当につまめるのを取って食べたりしていると、しばらくしてやっと後ろから白石さんが来た。
「ごめんごめん。ちょっと色んな人につかまっちゃって」