Fortunate Link―ツキの守り手―
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そうしてしばらくして戻って来た白石さんは、なぜか物凄く顔色が悪かった。
さらに俺達に言うことには、
「私、ちょっと用事で抜けるけど、二人でパーティー楽しんでね」
「……は?何言ってんだよ?」
俺は面喰って返した。
そもそも白石さんに付き合わされてここに居るというのに、本人が居なくなってどうするんだ、という話だ。
「何かあったのか?」
「いえ、なんでも…」
「何でもないって言う顔かよ…」
ちょっと前までとは明らかに様子の違う白石さんに、言わずにおれなかった。
「言えよ。何があった?」
アカツキが白石さんに迫り、問い掛ける。
「おい。アカツキ」
いつもの威圧感で問い詰めるアカツキを止めようとした時、白石さんは顔を上げてアカツキの方を見た。
「ねぇ、月村さん。
今から言う場所に心当たりはあるかしら?」
「……なんだ?」
唐突な問いにアカツキは眉をひそめた。
すると何の脈略も無く、白石さんは朗々と言葉を紡ぎ始めた。
「――太陽の上。
赤い光が灯る港。
その後方」
何かの詩のようにも思える言葉に、アカツキはますます眉間に皺を寄せた。
「何言ってやがる?」
「……覚えが無いのならいいわ」
白石さんは、どこか諦めたように笑みを浮かべていた。
そして、後方に控える黒スーツ姿の男達の方を見やって、
「じゃあ私、ちょっと用事があるから行くね」
そう言って、そちらへ向かおうとしたところを、
「――おい、ちょっと待てよ」
アカツキがすかさず呼び止めた。
白石さんはピクリと足を止める。
そんな白石さんに対し、アカツキは腕を組み、鋭い眼光で睨み据える。
「私に関係あるんだろ。
だったら、何があったか洗いざらい教えてもらおうか」