Fortunate Link―ツキの守り手―
「それより早く月村明月の情報をよこせ。
聞くところによると、この船に乗っていると言うじゃないか」
白石さんのお父さんがせかすようにそう促した。
「ほんま御執心やなぁ」
関西弁男は呆れたような感心したような声で言った。
「我が社は今一番飛躍の時を迎えている。
より上へ行くには運の流れに乗ることも必要なのだよ」
「ふぅん。
その為に、彼女の存在が必要やと?」
「そうだ」
強く頷く声が部屋に響く。
ちらりと横目にアカツキを見ると、不快感を露わにした表情をしていた。
「……なるほど」
関西弁男は笑みを含んだ声で言った。
「せやけど、それは無理な話やで」
少しの沈黙。
そして、
「………どういうことだ」
白石さんのお父さんの声色が変わった。
「彼女の強運はあんたが手に出来るような代物やないからや」
「……なんだと?」
相手の気色ばむ反応を楽しむかのように、関西弁男はさらに嘲笑って言う。
「残念やったな。
私利私欲しか見えてないような奴に、彼女の存在を教えてやるつもりなんぞ毛ほどもあらへんわ」
「……貴様っ」
白石さんのお父さんが立ち上がるのが見えた。