Fortunate Link―ツキの守り手―



「月村明月のことを知っていると言うから、金まで用意させて貴様らをここに呼び寄せたというのに!」


「――黙れよ。下衆野郎が」


激昂する声に、凍てつくような言葉が響いた。

しんと静まる室内。

空気が一変した気がした。


「……おい、蓮。
何をした?」


関西弁男の肩を掴み、問いかけるもう一人の男。

よく見ると、白石さんのお父さんは関西弁男の方を見て目を見開いたまま静止している。

何か様子がおかしい。


「心配せんでも大したことしてへん」

蓮と呼ばれた関西弁男は、そう答えた。


すると、立ち尽くしていた白石さんのお父さんは「あれ?」と言いながら、周りを見廻し始めた。

目の前に居る男二人をしきりに見ては「君達は一体…?」と首を傾げたりしている。


「――なぁ、ちょっと聞きたいんやけど。
月村明月ってコ、知ってるか?」


「………誰だ?……知らないな」


関西弁男の問いかけに、訝しげに答えた。

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