水の国の王子様は従者を溺愛中!
美しい王子様
(イラスト:にんにくG様)
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子供の頃の事。
私の家は代々お城で使用する全ての花を取り扱っている花屋を営んでいて、この日は母に連れられて花の納品にお城へと連れて来られていた。
「ママ!噴水のところで待ってても良い?」
「そこなら構わないけれど、城内だからママの用事が終わるまでお行儀良く待ってるのよ?」
「うん!」
お城の入り口にあるアクアヴェールを象徴している噴水を綺麗なお水が流れるのを見るのが大好きで、お城に来る時は必ず見に行っていた。
この日もすぐに噴水のある場所へと向かった。
すると、今日は何故か噴水のお水が周りに虹が出来るくらいに勢い良く吹き上がっている。
「わぁ!虹だぁ!」
いつもと違う噴水の風景も綺麗…
ふと、噴水の正面に同じ歳くらいの男の子がいる事に気が付いて私はその子に駆け寄った。
「ねぇ!見てー!虹出てるんだよー」
「うん、虹綺麗だね」
よく見るとその子が噴水の水に向かって手を掲げている。
「もしかして、これやってるのあなたなの!?」
「そう、僕も虹見ようと思って」
「すごぉい!お城の人なのー?」
そう言いながら見ると、息が止まった。
とても澄んだブルーの瞳に整った顔立ち、サラサラの金髪で肌も透き通るような肌をしていて、左目の下の涙ボクロまでもが全てキラキラして見えた…
全てが美しくて人を見てこんなにもドキドキしたのは初めてだ。
「僕はアクアヴェール国王子のカイ・ル・ヴェールです。君のお名前は?」
「……ハッ!えっとぉ………リディア…」
「初めまして、リディア。お会い出来て光栄です」
カイ王子はまだ幼いのに礼儀正しく挨拶をしてくれて、幼いながらにカイ王子は凄い人なんだと感じた。
「……」
「急に喋らなくなっちゃった…どうかしたの?」
「だって……だって……王子様が……綺麗過ぎるんだもん!」
「そ、そうかな…?」
「うん!あのね!噴水よりもすっごくすーっごく綺麗でドキドキしちゃった!」
「噴水よりも!?それは褒めて貰ってるのかな…?そうだったらありがとう?」
カイ王子は微笑むと私の手の甲にキスをした。
「ふぁっ!?」
「カイ様ーっ!また噴水の水の量勝手に増やされましたね!?いけませんって何度も注意いるのに…!それに一人で歩き回るのもいけません!」
キッチリした格好のおじさんがきて、カイ王子を抱き上げた。
「いけませんばっかり!いーっつも誰かが着いてきて窮屈なんだ!」
さっきまで大人びた風に話していたけど、怒っているようで突然子供らしくなる。
「お気持ちはわかりますが、カイ様が危険な目に遭われない為です!ワガママ仰らないでください!お部屋に戻ってお勉強しましょう」
「お勉強嫌だなぁ…リディア、遊びたかったけどまた今度遊びに来てね、バイバイ」
「うん…バイバイ」
カイ王子は連れていかれてしまった。
これがカイ王子との出会いで、私の初恋だった。
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