水の国の王子様は従者を溺愛中!
昨晩、疲労が溜まっていたのに寝床は硬い床の上だったし、回復しきれてなかったのかもしれない…
それに私を気遣って何度も水の力も使っていたから。
感覚とかは一切わからないけど、フォースの力を使うのには結構なエネルギーが必要らしい。
カイ様はすぐに無理をしてしまうから私が気を付けなくちゃ。
枯れた木の近くに太い枝を立てて持ってきたブランケットを引っ掛けてカイ様の座っている場所に日陰を作った。
「簡単なものですが、これでしばらく休みましょう」
「あぁ…ありがとう。リディアもこっちにおいで。今、俺の体温低くなってて暑さも凌げるから」
どういう事だろう?
「えっと…失礼します?」
カイ様の隣りに座るとカイ様は私に寄り添って私の手を握った。
カイ様の手がひんやりしてる…!?
「カイ様!本当に体調大丈夫ですか!?」
「あぁ…昨日ライマーレ軍に抵抗するのに水の力をかなり消耗してからしっかり回復しないうちに少し使い過ぎたかな…力使い過ぎた後は体温が下がるんだ…少し休めば大丈夫だから」
「私の膝を枕にお使いください、ライマーレに入る前にしっかり休んでから行きましょう」
「…頼りなくてごめん」
私は自分の膝の上にカイ様の頭が乗るように移動して寝かせた。
「頼りないなんて事ありません、カイ様がいなかったら私とっくに死んでました…」
そう言ってカイ様の手を握り直すと、カイ様はスっと眠ってしまった。
外気温は高いのに、カイ様のお体がひんやりしているおかげで涼しい…
カイ様の寝顔はずっと見ていたくなるくらい綺麗でこの日陰だけ時が止まっている様だった。
カイ様と休んでいる時間が心地好すぎて、ウトウトして来る。
このまま何も考えずにこうしていたい…
アヴァンカルド王国に匿って貰う事になったら私ブルノン家に行かなくちゃいけなくなるのかな?
そして、きっと…カイ様はアヴァンカルド王国の王族の方と婚姻を結んだりするんだろうな。
カイ様とはこの道中だけ。
分かってるけど、カイ様の事を知れば知るほど好きになってしまう…
ダメダメ…私は一般人。
カイ様は憧れで留めておかなくちゃ…
こんな気持ちあるなんてバレたらカイ様が国民を守ろうと一生懸命してくださっている厚意に失礼だ。