水の国の王子様は従者を溺愛中!
ライマーレ城下町
「リディア……リディア、起きて」
「Zzz……ン……あッ!ごめんなさい!私、寝てッ」
ライマーレの軍に見つかったら危ないからカイ様が休んでる間見張っていないといけなかったのに…
「大丈夫、休ませてくれてありがとう。夜になる前にライマーレの城下町まで行こう、町なら何か食べられるかもしれない」
カイ様の顔色は良くなっている。
「カイ様、体調はいかがですか?」
「リディアに休ませて貰ったからだいぶ回復したよ、ありがとう」
カイ様は優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。
一緒に寝ちゃったし、完璧にこなせなかったのに優しい…
「ここが森が枯れていなければ何か食べられる物が少しでもあったかもしれないけど…厳しいな」
昨日から何も食べていないから今は一時的に回復したけど、またすぐに消耗してしまいそうだ。
私達はライマーレの城下町へ急いだ。
その場からライマーレの城下町まではそう時間は掛からなかった。
町は雷の力をエネルギーにしているようで、確か電気だったかな?
アクアヴェールにはないけど、学校で習った事があって電気の光は明るくライマーレの城下町の壁は昨日の水のフォースの最後の攻撃で大きく壊れていて、多く人がいるけれどだいぶ混乱しているようだった。
町に入る前にカイ様に変装を施す。
怪我をしている様に片目に包帯を巻いて、帽子を深く被る。
「ライマーレの町では俺達は一般人夫婦で俺はこの水の攻撃で怪我をしたという事にしておこう」
「夫婦ですか!?わ、私…カイ様の奥様なんて釣り合わないのに…」
そう言うとカイ様は私の唇に人差し指を立てて当てた。
「俺の事呼ぶ時は「あなた」か、仮名で「ルーク」で呼んで。あと夫婦なんだから敬語は無しだよ」
「そ…そうですね…正体隠さないといけませんから…」
「町中では俺の腕に掴まってはぐれないようにね」
「はい…あ、うん!」
私達はライマーレ城下町へと入った。
町の入り口には兵士もいるけど、昨晩の攻撃で建物が壊れている箇所が多く、人々が混乱していて人が入り口を通っても気にする気配はなかった。
「…町の被害が大きいな」
「うん…」
「まずは食事を取ろう」
辺りを見渡すと、建物が壊れたりしているけれど被害のないお店は普通に開いているようだ。
あちこちのお店の前には水の入った瓶が並んでいて信じられないくらい高い金額が表示されている。
そうか…ここに来るまでも水はカイ様が出してくれた水以外なかったから…水が足りてないんだ。
「あ!ルーク、どうしよう…私達お金持ってないよ…」
「大丈夫、そこの食堂に入ろう」
カイ様…お金払わないと食べれないってわかってるかな…?
アクアヴェールでお金払って食事取るなんてした事なくて知らないんじゃ…