水の国の王子様は従者を溺愛中!
食堂に入ると中は賑わっている。
「いらっしゃい!何にしましょう?」
「店主オススメの物を二人分頼む」
「あいよ!お勘定先にもらうよ!200ルピーだ」
「先程、すまないが金をスられてしまってね。水と交換ってわけにはいかないか?隣の店ではこれで1万ルピーで売っていた」
カイ様はそう言うといつの間にか小屋から持ってきた瓶をカウンターに置いた。
瓶にはいつの間にかたっぷりと水が入っている。
「こ……これは……本当に水?何処で手に入れたんだ?」
店主は瓶を手に取って匂いを確かめている。
「飲んで確かめてくれ。昨晩、水のフォースの攻撃から取っておいたんだ。おかげで怪我してしまったが…」
店主は少し疑った表情でコップに水を注いで口に含む。
「本物の水の様だな……お代はこれでいいよ、空いてる席座んな」
「ありがとう。助かるよ…さ、リディア席に座ろう」
ええぇ…お金無いのにちゃんとした食事取れるの…?
しかもカイ様すごく自然だった!
席に座って待っていると、お肉料理とポテトフライにパン…ガッツリした食事が出てきた。
「パンはサービスだ!」
「町が被災しているのにこんなにサービスしてもらっていいのか?」
「いいよいいよ、うちは食料だけは独自ルートで仕入れてるからさ。貴重なもん貰ったからな」
「ありがとうございます!お腹空いていたので…ありがたく頂きます」
「…ところで、旦那。水のストックはまだあるのかい?」
店主は声をひそめてカイ様に耳打ちした。
「あぁ。まだあるよ」
「見た所2人とも服はボロボロだし、困ってる事あれば水と交換で俺が用立ててやってもいいぞ。この辺りでは顔が広いんだ」
「そうだな…町の外にあった俺達の家が昨晩の攻撃で無くなってしまってね。今夜泊まるところと俺と妻の新しい衣類を用意してもらえると助かるんだが…瓶二つでどうだろう?」
「乗った!すぐに手配するからゆっくり食べていてくれ!あと…水を持っている事は他で言わない方が良い、可愛い奥さんを危険な目に遭わせたくないだろ?何か必要な事があれば俺を頼ってくれ」
「あぁ、そうするよ」
店主はそう言ってカウンターへ戻って行った。
「リディア。食事にしよう」
「ん……いただきます」
まさか敵国のライマーレでこんな贅沢な待遇受けられるなんて、やっぱりカイ様はすごい。
骨付き肉を食べようとした時にカイ様をふと見ると他の席の人は骨を持ってかぶりついている中で、ナイフとフォークで御上品に食べていて食べ方綺麗…
木こりの小屋に住んで細々と暮らしている設定で御上品に食べていると変に思われてしまうかもしれない。
「ルーク、このお肉は骨を持ってかじった方が食べやすくない?」
私はカイ様にそう言って目線で他の席の人の食べ方を示した。
「アァ!そうだな…この方が美味しいよな」
カイ様は気付いてくれて、他の席の人が食べているところを見て真似をしながら食べた。