水の国の王子様は従者を溺愛中!


お腹いっぱいに食事を食べ終えると、私達は店主に裏口へと案内されて水を2瓶店主へ渡す。

「そこの通りの宿の部屋取っておいたよ。あと宿の向かいの仕立て屋に金も払ってあるから既製品の服ならすぐ用意してもらえるはずだ」

「何から何まで…申し訳ない」

「いやいや、この2瓶にはそれ以上の価値があるからよ!それに、旦那は怪我してるし家もなくなって大変だろ。デカい声じゃ言えないけど、うちの王族は大バカだよ…この突然の干ばつアクアヴェールの呪いなんじゃないかって。呪いなんて信じねぇけどよ、王族はそれだけの事したと思うよ。おっと…王族派だったら今の事は聞かなかった事にしてくれ」

「そうだな…俺もそう思うよ。それじゃあ、助かったよ。俺達はもう行くよ。店の方も忙しいだろ?」

「あぁ、これから頑張れよ!また店来てくれたらご馳走するからいつでも来てくれよな」

私達は食堂を後にした。

「良い人で良かったね」

「あぁ。選んだ店正解だったね。服をもらって宿で休もう」

食堂の店主から聞いた仕立て屋さんに行くと、今ある私達のサイズの何種類か服を出してくれて一般的な服が手に入った。

一般的な服だからいつものカイ様の服と違って少し違和感はあるけど、さっきのボロボロの服よりも断然良くなった。
私も黒いワンピースだけになっていたメイド服からライマーレで一般的な丈の短い薄いピンクの落ち着いたドレスに着替えた。

「リディア、似合ってて可愛いよ」

「あ…ありがとう…」

夫婦のフリしてるからそう言ってくれてるだけなのに、ドキドキしてしまう…

服が手に入って宿屋へ行くとエントランスが凄く明るい。
アクアヴェールを滅ぼした力だけど、電気は夜でも明るく照らしている。

「お話は伺っております。こちらのお部屋をご用意させて頂きました」

案内された部屋はダブルベッドの綺麗なお部屋だ。

そうだ…私達夫婦って事になってるから!
昨晩は致し方なく裸でくっ付いて眠ったけど…


「シャワーですが、本日より断水となっていて水は出ませんので御理解ください」

「そうなんですね…わかりました。ありがとうございます」

部屋に二人になると、カイ様はすぐにベッドに横になった。

「はぁ…まさかベッドで休めるとは思わなかった…」

「ふふっ!食堂の店主に感謝ですね、私は椅子で休むのでカイ様はゆっくり休まれてください」

「リディア。ここではその口調禁止だろ?」

「ええぇ…でも二人だけですし…」

「俺達は夫婦だろ」

「ん……」

「ほら、リディアもベッドで休むぞ」

「えっ…きゃっ!」

カイ様は私の腕をグイッと引っ張ってベッドに引き込む。

「もう…強引なんだから」

「リディアが椅子で休むと言うなら俺もそうするよ」

「うぅ…でも私が一緒のベッドで寝ていいのかな…?」

「もう昨晩一緒に寝てるわけだし、そんな悩む事ないんじゃない?」

カイ様は笑いながらそう言った。

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