水の国の王子様は従者を溺愛中!
「それとも俺の近くで寝るの嫌になった?」
「そんな事絶対なくてっ…むしろ一緒に眠ると心地好くて…こんな状況だから…その…」
「俺も一緒だよ…家族や友人、俺を支えて来てくれた人達全員殺されて…心が壊れそうだったけど、リディアが傍にいてくれる事が心の支えになっているんだろうね…リディアが傍にいると安心して休めるんだ」
私はカイ様の方へ体を寄せると、カイ様は私の体を抱き寄せた。
その時にハッとして、またカイ様から離れる。
「ん?今度はどうしたの?」
「よく考えたら…私、今日汗たくさんかいててシャワーもまともに浴びれてないから……臭いが…」
離れるとカイ様は私の腕を掴んで引き戻した。
「気にならないよ?汗なら俺も結構かいたし…あ……もしかして俺臭かった?」
カイ様はそう言って自分の体を嗅いだ。
「全然っ!むしろ良い匂いするというか…」
カイ様も同じなのにカイ様は全然臭くなっていないし、良い匂いがしてズルい…
するとカイ様はなんと私のにおいまでも嗅ぎ始めた。
「嗅いだらやだっ!」
「臭くないのに…そうだな、そんなに気になるならお湯は出せないけど水で体洗う?水なら出せるよ、さっき食事もして体力戻ったし」
「………洗いたい……です」
力を使わせてしまう申し訳なさよりも、綺麗になりたい願望の方が勝ってしまった…
「俺も汚れを流しておこう」
「そしたら空き瓶に…」
「さっき店主に渡したからもうないよ」
「えぇ!そしたらバスタブに」
シャワーを使用できないという浴室を見るとバスタブはなく、完全にシャワールームだ。
「直接頭から水かけるから一緒に入ったらいいよ」
「一緒に!?……んー!カイ様は女の子とお風呂入るのなんて日常茶飯事かもしれないけどっ」
「え?そんな事ないって!リディアが壁の方向いてたら見えないと思ったんだ…絶対体見ないからさ」
私、自意識過剰過ぎた!
カイ様は私の事なんて眼中に無いし、ましてや私なんかに下心抱くはずないのに…
「ごめんなさい…そうだよね……勘違いして慌てちゃった…」
「いや、俺も説明不足で女の子に対してデリカシーなかったよ…ごめん」
「そしたら私先に入って壁の方向いてるね!」
脱衣場へ行って服を脱いでカイ様が入ってくるのを待った。
下心ないと言っても裸でカイ様待つって…思った以上に緊張してきたんだけど…
「リディア、入るよ」
「はいっ」
カイ様が入って来て、動揺を隠す為置いてあるシャンプーを見ているふりをする。
「……頭から水かけるよ?」
「うん………ヒャッ…冷たっ」
頭から水を掛けられると冷たくて驚いてしまった。
「ごめん!温度は調節出来ないんだ」
「ううん、暑いからちょうどいい」
「あー…やっぱりさ……俺、めちゃくちゃ緊張してる…」
「え?」
「…こんな近くに裸の可愛い女の子いて何も感じない訳ないや…こんな所で男の気持ちが出ちゃってごめん」
「そんなっ…謝らなくていいのに…私だって緊張してるから大丈夫だよ…」
カイ様って今まで絶対にモテてたはずなのに、すごく純粋な人だ…