水の国の王子様は従者を溺愛中!
アクアヴェールの王族
次の日。
宿で朝食を用意してくれて朝食を食べてからアクアヴェールの王族が嫁いだという場所へ出発する事となった。
食事も取れて、ベッドでしっかり休む事が出来て本当に助かった。
「これから行く先に嫁いだ王族は俺の従姉妹なんだ。嫁ぎ先のライマーレの王族はあんな冷酷な事をしたライマーレ軍と同じ血筋とは思えないくらい良心的な方だったから無事だとは思うけど…どうだろうな」
「無事を祈りましょう…食堂の店主を見てもライマーレの人だからといって必ずしも冷酷な人ばかりではないもんね」
「あぁ、まずは駅へ向かおう」
「えき…?」
「ライマーレには電気の力で動く誰でも自由に乗る事が出来る乗り物があるんだ。その乗り場が駅と呼ばれてる」
「へぇ…全然想像つかない…」
「実際に見たら驚くと思うよ、行こうか」
カイ様はそう言うと私の手を繋いで歩き出した。
!?!?
昨日まで一緒に歩いてる時に手を繋ぐなんて無かったのにどうして!?
「カイ……あっ…ルーク…何故手を……」
「仲良い夫婦は歩く時こうするものだろ?それに俺は半分目が塞がってるからな」
「そっか…気付かなくてごめんなさい…」
そうだ…変装で半分目を隠してて見えないのに私ってば全然気遣えて無かった…
もう…従者失格だよ…
カイ様と夫婦の様に過ごしてて完全に気が抜けてる!もっとしっかり務めなくちゃ…
私はカイ様の繋いだ手をしっかりと握った。
駅という場所につくと、人通りが多くなっていて電気で動いているという全く見た事のない乗り物の様な大きな鉄の塊があって驚き、呆然としてしまう。
「ちょうど出発するようだ、乗ろう」
「は、はいっ」
カイ様に手を引かれて乗り物に乗り込むと勝手に扉が閉まって、馬もいないのに乗り物が動き出した。
「わ……動いた……」
何だか怖くて私はカイ様の手をキュッと握っていた。
するとカイ様は私の手を離したかと思うと肩を抱き寄せてくれる。
「怖い?」
「…ん……わ…すごい速さ…」
窓の外を見ると馬車とは比べ物にならないくらい速く移動をしている。
「大丈夫。こんなに速いけど馬車よりも安全だよ…初めてじゃ不安だよね。こっちの手握っていような」
肩を抱き寄せていない方の手で私の手を握って宥めてくれると少し不安な気持ちが和らいだ。
「…怖がってしまってごめんなさい」
「気にしなくていいよ、俺も初めて乗った時は怖かったから」
カイ様はライマーレには外交で訪れたことがある様で慣れているから従者として頑張りたいのになかなか上手くいかない…
途中、乗り換えたりして半日かかったけど何とか目的地へ辿り着く事が出来た。