水の国の王子様は従者を溺愛中!
新しい名前
軽いキスをして一度唇が離れ、また目が合って唇が近付いた時不覚にもお腹が鳴ってしまった。
「あ……」
「ごめん!お腹空いてるよな」」
「うぅ…なんか私カイルに恥ずかしいところ沢山見せてる気がする……お嫁にいけない…」
カイルの前で吐いちゃうし、こんなお腹鳴ってるの聞かれちゃうし…
恥ずかし過ぎて顔を手で覆う。
「そんな事ないよ!俺がリディアを無理させてるから…そんな心配しなくても俺がリディアの事お嫁にもらうし……って、今は食べ物だよね」
カイルはそう言って考え始めた。
カイ様…カイルが私の事お嫁に貰ってくれるなんて言ってくれるなんて夢みたいだ…
「そうだ…城で探せば何処かに食料があるかもしれない」
「そっか、ここも大勢が暮らしてたわけだし何か残ってるかも」
「城内の様子確認するから待ってて」
カイルはそう言うと城内へ続く扉を開いた。
扉の先は狭くなっていて、狭い階段があってカイルが進もうとした。
「待って」
「ん?」
「ライマーレで無理矢理着いて行って足でまといになっちゃったけど…その…私も一緒に行きたい…足でまといにならないように気を付けるから」
ここで一人カイルを待つのは色んな意味で不安だった。
「…うん、一緒に行こうか」
カイルは優しく微笑むと私の手を繋いで扉の先へと向かった。
「…リディアが足でまといだなんて思ったことないからね」
三人兄弟で一番注目されてなかったなんて信じられないくらい優しくて好きだなぁ…
階段を上ると頭上に格子状の柵があってカイルがそれをズラすと、外の様子を伺う。
「誰もいない…城内荒れてるから足元気を付けて」
「…うん」
城内へは何処かの部屋の暖炉から繋がっていたようで、暖炉のあった部屋は焼け焦げていて元々どんな部屋だったのか全く想像がつないくらいだ。
屈みながら窓の外を見るとアヴァンカルド王国の兵士が少数いて、国境付近の警備をしているようだ。お城の周りには危険の印のついた線が張られている。
「…今はライマーレから人が入って来ないように国境付近の警備が固いし、あんな線張ってるくらいだから城内探索してても気付かれなさそうだ」
「そうだね…静かに行動するね」
「うん…まず調理場に行ってみよう」
カイルに手を引かれて足場が悪い中部屋を出て進む。
襲撃の時、暗い中城内歩いている間足元に死体があらこちらにあったけど今はアヴァンカルドの兵が私達がライマーレにいる間に城内の死体は全て回収されたようだった。
扉の壊れた部屋の前を通ると、カイルは立ち止まった。