水の国の王子様は従者を溺愛中!
私達は床下に残っていた食料を全て暖炉下のシェルターへと移してからゆっくり食べる事にした。
「メイン料理になる物はなかったな…はぁ…リディアにもう少し食事らしい物食べさせてあげたなかったな」
カイルはそう言ってため息をついた。
「これでも充分だよ、これだけ食べられるのもカイルのおかげだよ!カイルがいなかったらこんな簡単に食べる物見つけられなかったもん」
「リディア…俺に甘過ぎない?」
「そうかな…?カイルが私の事想って行動してくれるだけで胸がいっぱいになるもん、なんならカイルが生きててくれるだけで幸せって思うくらいカイルの事好きだから…」
そう言うとカイルは頬を染めて照れてる表情を壁の方を向いて隠した。
「恋人に愛して貰えるっていいものなんだね…この気持ち知れて良かった……そうだ、これからの予定なんだけど」
カイルはそう言って城内で見つけた周辺の地図を取り出して現在いるアクアヴェールのお城を指し示した。
「今夜はここで休んでから明日の朝アクアヴェールの町へ向かってリディアの家の様子を確認してから、アヴァンカルドの王都からは離れるけどアヴァンカルド領の小さなこの町に向かおうと思うんだけど…どうだろう?」
「私、アヴァンカルド領の事あまり詳しくないからわたしが嫁ぐ予定だったブルゾン家のある町以外なら何処でも大丈夫だけど…どうしてこの町なの?」
「アヴァンカルドにはアクアヴェールからの移民が多くいるけど、ここの町は出来たばかりの町で生活の便があまり整っていないから俺の顔がわかるくらいの国民はここにいないんだ。町がまだ発展途上の分ここなら新顔でもやれる事があるはずだから」
アクアヴェールでは城と関わりのない一般国民で王族を見た事ある人は稀だ。
私も一般国民だけどカイルの顔がわかるのは両親の花屋の仕事のおかげだ。
カイルは自分の事何も無いと言うけど、経験や自国以外の知識が豊富で地位や名誉がなくなっても元王子様って存在だけですごく価値がある気がする…
「そういう事ならこの町に行ってみよう、0からのスタート一緒に乗り越えようね」
「うん…暗くなる前にもう一度城内で持っていけそうな物が残ってないか探しに行こう」
私達は調理場から持ってきた保存食を食べると、もう一度城内へと向かった。