水の国の王子様は従者を溺愛中!
城内の上層階は階段が壊れている箇所があったけど、足場が悪い分物が残っている可能性を考えて危ないところを通って上層階へと進んだ。
上層階も迷路みたいで、ただカイルに着いて行くくらいしか出来ない。
「ここは父上と母上の寝室だけど…」
そう言ってカイルが扉を開けると中は下の階はどではないけれどベッドは黒焦げだ。
中を見て回るとクローゼットルームの宝飾があったと思われる場所は割られて中身は全て持っていかれている…
横にあるバスルームらしき場所の扉を開くと、何とここのバスルームだけ殆ど損傷がない。
「リディア何かあった?あぁ…バスルームは綺麗だね…バスルームじゃ何も無いか…」
「……カイル……すぐに出るからシャワー浴びちゃダメかな…?」
ライマーレからここに来るまで乾燥した地面を歩いて、汗だくな上に砂が体をまとわりついていてこんな状況だけど洗い流したい…
「そうだね…次すぐに入れるかわからないしらシャワー浴びれる時に浴びておこうか。多分近くにアヴァンカルドの兵がいるからランプはつくと思うんだよね」
カイルがバスルームのランプをいじるとランプは点いた。
アクアヴェールは定期的にアヴァンカルド王国から火の力を供給してもらっていて、どういう仕組みが分からないけれど城や町全体のランプや暖炉、料理に使う火等生活に必要な火が点くようになっている。
窓の無いバスルームはランプの暖かみのある光で明るくなってカイルはバスルームの扉を閉めた。
国王様のバスルームは半分損傷してるとはいえ広くてバスタブも豪華だ。
「こんな時間にアヴァンカルドの兵がここまで上がって来るとは思えないし、浴槽に湯も張ろうか。湯に浸かった方が疲れも取れるし」
「えっ!体冷えてきたから嬉しい!」
カイルはバスタブにお湯も張ってくれる。
「よし、入ろうか」
そう言うとカイルは服を脱ぎ始めた。
「じゃあ、私先に見張りするね」
「え?あぁ、一応脱衣場とバスルーム両方にカギしておこうか」
カイルはバスルームと外側の脱衣場の扉のカギを閉めた。
「これで大丈夫、入ろう?」
「…もしかしてだけど……一緒に入るの?」
「うん?もう日が暮れるのに危険犯してここまで入ってくる兵いないから大丈夫だよ」
「そ、それもそうだけどっ…その…恥ずかしいかも…」
そう言うとカイルはハッとした顔をして顔を赤くさせた。
「ごめん!一昨日一緒に入ったし、ずっと一緒だったから流れでつい………でも……リディアが嫌じゃなければ一緒に入りたい…」
カイルは顔を真っ赤にしたまま申し訳なさそうな表情でそう言った。
こんなの……
「……嫌じゃないよ…でも、恥ずかしいからあんまり見ないでね」
断るわけが無い!
カイルにあんな顔で頼み事されたら絶対断れないかも…