水の国の王子様は従者を溺愛中!
東門を出ると馬車道が出来ていて、そこを道なりに進んでいけばなんとか辿り着けそうだ。
カイルとしっかり手を握ってしばらく進むとチラチラと雪が降り始めてきた。
今戻った方が早いのか、進んだ方が早いのか全く分からない。
「先を急ごう。雪が酷くなる前に」
「うん…」
急いで先に進むと雪がチラチラと降っていた雪はボタボタと零れるように降ってきてだんだんと風も出てきてあっという間に周囲はホワイトアウトになってしまった。
馬車道も所々にあった柵も埋まってしまって、何も見えない。
「どうしよう周り何も見えないよ……雪の中でこのまま迷っちゃったら…」
見慣れない景色と気温に不安が募るばかりだ。
「リディア、俺の事見て」
カイルにそう言われてカイルを見るとポンポンと頭を撫でられる。
「大丈夫、一回落ち着こう。まず一回ここから動かないようにして風をしのいで天候が良くなるのを待とうか。風をしのげる場所作るから近くで待ってて」
カイルはそう言うと近くに落ちていた枝で積もっている雪を掘り始めた。
「私も一緒にやる…穴掘ったら良いの?」
「あぁ!二人入れるくらいまで掘ろう」
枝と手を使って何とか穴を掘って、二人でそこに入って持ってきていたブランケットに包まる。
何とか風をしのげるけど、さっき雪を掘った手が悴む。
すると、カイルが手を握ってくれる。
「天候がおさまるまでもう少し頑張ろう…」
「うん…でもカイルよく雪の事まで知ってるね?」
「あぁ、アヴァンカルドの雪山でサバイバル術も習った事あるからね。その頃はこんな雪に囲まれた場所アヴァンカルドでも一部だったけど…」
「そうなんだ……流石王子様……だよね……Zzz…」
まだ夜でもないのに突然の眠気に襲われる…
「リディア?リディアッ!寝ちゃダメだよ!」
カイルに揺すぶられて、自分でも寝たくないのに眠気に抗えない…