水の国の王子様は従者を溺愛中!
「ありがとう…カイルは?カイルもしもやけになってない?」
「俺は大丈夫だよ」
「カイルも足先冷えてるはずなのに?」
「まぁ、多少冷えてはいるけど」
カイルはそう言って靴と靴下を脱いで脚先を出すと、本当に何ともなっていなかった。
「本当だ…」
カイルはフォースの力を使い過ぎた時は疲労で休まないといけない事はあったけど、ここ数日でこんなに寒暖差激しかったりここまで過酷な道のりだったのにカイルが体調を崩したりした事はなかった。
私は全然体が対応しきれてなくてその度に介抱してもらってカイルに迷惑掛けすぎてるのに…
「フォース持ちは基本的に一般の人よりも体が丈夫だからね。力の使い過ぎにだけ気を付ければ、ほとんど病気とかにもならないんだ」
カイルはそう言いながらしもやけになっている私の足をマッサージしてくれる。
暖炉の熱とカイルの程よく冷たい手が相まってしもやけの痛みが和らぐ。
「そうだったんだ…カイルって何でも出来るし、頭もよくて頼りになるし格好良いね」
「褒め過ぎだよ」
カイルは照れた表情でそう言った。
「へへっ…だってカイルの事大好きなんだもん」
「そういう事はゆっくり二人きりで過ごせる時に言ってよ」
コンコンッ
ドアがノックされると、入ってきたのはご婦人だった。
手にはスープとパンが乗ったお盆を持っている。
「あらあら、仲良さそうなご夫婦ね!簡単な物だけど食事持ってきたから食べなさい」
「あっ!ありがとうございます!初めまして…お世話になります。リディアと申します」
「食事まで用意してくださって感謝致します。僕はカイルと申します」
「そんな改まらくていいのよっ!私はマーサよ、主人から聞いてるわ、軟膏も持ってきたからマッサージしながら塗ってあげてね」
「マーサさん、ありがたく使わせて頂きます」
カイルはマーサさんから食事と軟膏を受け取った。
「やだ、本当に聞いてた通りすごく綺麗な顔してるのね!こっちの国の男達は顔もイカついのが多いから新鮮でいいわね」
「こちらの国の男性は男らしくて羨ましいです」
「ゆっくり話したいけど、お客さんのご飯作らないといけないから行くわね!」
マーサさんはそう言って出て行った。
「頂いたご飯食べようか」
「うんっ」
テーブルとかはないので床に置いて、食事をする事にした。
パンも焼きたてですごく美味しい…
「良い人達で良かったね」
「あぁ、一生懸命働いて恩を返そう」
ご飯を食べ終えると、カイルは足先をもう一度マッサージしながら軟膏を塗ってくれる。
「痛み和らいできたかも」
「足先以外は大丈夫?」
「うんっ…ありがとう」
ちょっとだけなら大丈夫かな…?
カイルの頬にチュッとキスをした。
「リディアからキスしてくれるの嬉しいけど、唇には…?」
「えぇ…唇は私からするの恥ずかしいもん…」
すると、カイルから唇にキスをしてくれる。
「恥ずかしがってるリディア可愛い」
そう言うと何度もキスをしてくれたり、ぎゅっと抱き締めたりしてくれる。