水の国の王子様は従者を溺愛中!


次の日。
お城の仕事へ行くと、ノーフォースの使用人の数は激減していた。


今でも仕事をしに来ているのは例え戦争が始まっても移住をするつもりのない人、まだアヴァンカルドへの移住の手続きが終わっていない人などだ。


「リディアちゃんはまだ移住先決まっていないの?」

「一応…私の婚約が条件で家族の仕事も住むところも保障してくれるところは見つかりましたが……今日家族で挨拶に行くので近いうちにはアヴァンカルドへ行くことになると思います」

「そう…本当色々大変な事になってしまったわね…」

「とりあえず仕事は仕事よ、今日も仕事こなして帰りましょう」

「はい…」


今日アヴァンカルドに行きたくないな……
せめて最後にカイ様の姿でも見られたらいいんだけどなぁ。


午後になって中庭の清掃をしている時だ。
そろそろ早退しないといけない時間だ。


庭の掃除用具入れに箒をしまっていると、突然掃除用具入れの外に強く光が走った。


「え…?何!?」


掃除用具入れの外にいた人達は全員痙攣をしながら倒れている…


「一体何が!?」


外に出ようとすると、近くで倒れたいつもお世話になっている庭師のおじさんが叫んだ。


「リディアっ!そこから出るな……うあああアアアッ!!!」


その声に驚いて足を止めるとまた閃光が走って、庭師のおじさんは目の前で焼け焦げてしまった…


嘘……なんで…この光何なの……?おじさんが……どうしよう…怖い…


すると、ばたばたと何処からか人が複数人走ってくる音がして私は咄嗟に掃除用具入れの扉を閉めて口に手を当てて隠れた。


「城にいる奴らはノーフォースだろうが全て殺せ!」

「水の王族は反撃してくる可能性が高いから注意しろ!」


どうしよう…見つかったら殺される…


突然こんな……


町の方は……?パパとママとお兄ちゃんは……?


私は掃除用具入れから出る事が出来ず、周りが静まるまで閉じこもる事しか出来なかった。


< 6 / 54 >

この作品をシェア

pagetop