うろ覚えの転生令嬢は勘違いで上司の恋を応援する
謎が深まる上司様
私は机の引き出しから取り出した攻略本を開き、例のページを見る。
ディラノアかノアディラ?
私はノアディラを横線で消してた。なぜなら、私の勘がディラノアと言っているためだ。攻略本をしまい部屋を出ると、寮で通り過ぎる侍女のお姉さまたちが褒めてくれる。今日はちょっとおめかししているのです。
実は、今日は仕事終わりにパスカル様とお出かけなのだ。
×××
「本日はありがとうございます。お礼でお贈りしたものですのに……」
「あんなに美味しいものをもらったらお礼しないと気が済まないよ」
今回のお出かけは、第二騎士団の皆様に先日の引っ越しのお礼に手作りのカップケーキをお渡ししたらパスカル様がそのお礼でパティスリー・アニエスに連れて行ってくれると言ってくれたのだ。
お返しのお返しというのも気が引けるのだが、パスカル様は私が左遷で落ち込んでいることを察して気分転換で連れ出してくださったようだ。事前にハワード候爵に連絡してくれていたので今日は早めに帰してもらえた。
さすがは【みんなのお兄さん担当】。困っている人を放っておけないんだな。
攻略本を読み返したところ、ジネットとの出会いも困っていた彼女に手を差し伸べたのがきっかけだ。建国祭の準備中にナンパ野郎にからまれたジネットの前に颯爽と現れて助けてくれるらしい。
そして、私はこのチャンスを活かしてハワード候爵について情報を集めることにした。サブキャラクターであるため佳織からの彼の情報はあまりないのよね。
「そう言えば、パスカル様はハワード候爵とは幼馴染なのですか?」
パスカル様はティーカップをソーサーに置いてにこりと微笑む。
「ああ、ディランとは剣の鍛錬を始めた頃からの付き合いだよ。なんでも、あいつから剣術を学びたいってご両親にお願いして俺の家に修行しに来たんだ。『力が欲しい』って言ってたらしいぞ。今や騎士団に入ったら団長になれるくらいの実力さ」
ん??なんか違うジャンルのキャラが生まれそうなのだが?
どこかの岩から伝説の剣を引き抜いて最終必殺奥義とか身につけてそうなのだが?
「シエナから見ればあいつに小さい頃があったなんて信じられないだろうが、あいつにも子どもの時期ってあったんだぞ?」
「小さい頃の侯爵はきっとお人形さんのように可愛らしかったでしょうね」
「見た目はそうだったかもしれんが、中身は今と同じだな。数多の令嬢から愛を告げられていたのに『興味ない』の一点張りだったな」
「わぁ!クールな感じですのね」
……もしかして、同性が好きなのは幼少期からなの?!闇が深そう……。
「け、剣術一筋だったから恋愛に興味なかったのかもしれませんね」
「いや、飼っていた猫を溺愛していたからかな?」
そう言いながら、パスカル様はちらりと私を見た。私は動揺を隠して微笑み返す。
まさかの元ケモナー???
私の上司愛が広すぎか?
いずれにせよ、女の人には全く興味が無さそうだ。苦手とかではなさそうだけど……そうなると、ハワード候爵の中で私の立ち位置ってどうなっているんだろうか?
最初は小娘登場しやがったか!って雰囲気だったけど、歓迎会をしてくれたってことはそこまで邪魔だとは思われていないのかな?
……それともあれか?敵に塩送っておこうみたいな心境なのだろうか?
じゃあ2回くらい送り返して”使える小娘”度アップしたいな。
ディラノアかノアディラ?
私はノアディラを横線で消してた。なぜなら、私の勘がディラノアと言っているためだ。攻略本をしまい部屋を出ると、寮で通り過ぎる侍女のお姉さまたちが褒めてくれる。今日はちょっとおめかししているのです。
実は、今日は仕事終わりにパスカル様とお出かけなのだ。
×××
「本日はありがとうございます。お礼でお贈りしたものですのに……」
「あんなに美味しいものをもらったらお礼しないと気が済まないよ」
今回のお出かけは、第二騎士団の皆様に先日の引っ越しのお礼に手作りのカップケーキをお渡ししたらパスカル様がそのお礼でパティスリー・アニエスに連れて行ってくれると言ってくれたのだ。
お返しのお返しというのも気が引けるのだが、パスカル様は私が左遷で落ち込んでいることを察して気分転換で連れ出してくださったようだ。事前にハワード候爵に連絡してくれていたので今日は早めに帰してもらえた。
さすがは【みんなのお兄さん担当】。困っている人を放っておけないんだな。
攻略本を読み返したところ、ジネットとの出会いも困っていた彼女に手を差し伸べたのがきっかけだ。建国祭の準備中にナンパ野郎にからまれたジネットの前に颯爽と現れて助けてくれるらしい。
そして、私はこのチャンスを活かしてハワード候爵について情報を集めることにした。サブキャラクターであるため佳織からの彼の情報はあまりないのよね。
「そう言えば、パスカル様はハワード候爵とは幼馴染なのですか?」
パスカル様はティーカップをソーサーに置いてにこりと微笑む。
「ああ、ディランとは剣の鍛錬を始めた頃からの付き合いだよ。なんでも、あいつから剣術を学びたいってご両親にお願いして俺の家に修行しに来たんだ。『力が欲しい』って言ってたらしいぞ。今や騎士団に入ったら団長になれるくらいの実力さ」
ん??なんか違うジャンルのキャラが生まれそうなのだが?
どこかの岩から伝説の剣を引き抜いて最終必殺奥義とか身につけてそうなのだが?
「シエナから見ればあいつに小さい頃があったなんて信じられないだろうが、あいつにも子どもの時期ってあったんだぞ?」
「小さい頃の侯爵はきっとお人形さんのように可愛らしかったでしょうね」
「見た目はそうだったかもしれんが、中身は今と同じだな。数多の令嬢から愛を告げられていたのに『興味ない』の一点張りだったな」
「わぁ!クールな感じですのね」
……もしかして、同性が好きなのは幼少期からなの?!闇が深そう……。
「け、剣術一筋だったから恋愛に興味なかったのかもしれませんね」
「いや、飼っていた猫を溺愛していたからかな?」
そう言いながら、パスカル様はちらりと私を見た。私は動揺を隠して微笑み返す。
まさかの元ケモナー???
私の上司愛が広すぎか?
いずれにせよ、女の人には全く興味が無さそうだ。苦手とかではなさそうだけど……そうなると、ハワード候爵の中で私の立ち位置ってどうなっているんだろうか?
最初は小娘登場しやがったか!って雰囲気だったけど、歓迎会をしてくれたってことはそこまで邪魔だとは思われていないのかな?
……それともあれか?敵に塩送っておこうみたいな心境なのだろうか?
じゃあ2回くらい送り返して”使える小娘”度アップしたいな。