betrayal~元彼御曹司との不倫~



「けど、コンビニ行くなら何か食べに行く?」

「ううん。私、素っぴんですから」

中村春馬と二人、マンションから出る。
一応着替えてはいるが、化粧はしてないので、その中村春馬の誘いは却下する。

「十和子はそのままでも可愛いから。
眉毛が薄いのも、素顔が幼いのも」

そうやって、からかわれる。

「本当、人って変わらないですよね?
この5年でもっと中村部長は紳士になっているかと思っていたのに」

昔と同じ、そうやって私をからかって来る所が、相変わらず。

「俺は変わってないよ。
十和子は変わったけど」

「そう?」

私は変わったのか。

「変わった。また十和子は俺のものになってくれると思っていたけど。
本当に、俺は傲ってたみたい。
でも、そうやって変わった十和子に魅力を感じてる。
惚れ直したってやつ」

「なに、それ?」

なんとなく、手に入らないものの方が魅力的に見えるって事なのだろうな。
だから、変わっていない中村春馬に私は昔以上に魅力を感じてないのか。

「…とわちゃん?」 

そう呼ばれる迄、私も中村春馬も近くに零斗が立っている事に気付かなくて。
私も中村春馬も足が止まった。

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