betrayal~元彼御曹司との不倫~
「何話してんだよ!」
零斗がこちらへとやって来て、私と中村春馬を隔てるように間に立った。
「零斗、仕事の事で中村部長に相談してただけなの!」
零斗の背にそう訴えると、こちらを振り返り冷たい目を向けられた。
私の嘘だと分かっている。
「お前結婚してるなら、いちいち人の女に迄手を出すような事すんなよ!
どうせ、部長はとわちゃんの事を幸せに出来ないんだろ?」
零斗は中村春馬の胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそう。
私の知ってる零斗はとても温厚で、頭が良く仕事も出来るけど、普段はちょっと頼りない感じで。
こうやって誰かに攻撃的な所を今まで見た事なかった。
私がこの人を、こんな風にしてしまったのだろうか?
「おい!真田何やってるんだ!」
そう言ってこちらに走って来るのは、私の二年先輩の男性社員の田中さん。
この修羅場を見られた事の焦りよりも、私だけじゃ零斗を止められそうになかったので、安堵する気持ちの方が大きい。
「田中、大した事じゃないから」
そう言うのは中村春馬。
「ですが、部長…」
そう田中さんは納得行かないようで。
けど、関係のない田中さんが止めた事で零斗は少し冷静になったのか、掴んでいた手を離すと、
「…中村部長、すみませんでした」
そう言って頭を下げ、部署には戻らず逆方向に歩いて行った。
「中村部長、大丈夫ですか?」
そう訊く田中さんを横目に、私は零斗を追いかけた。
零斗は非常階段扉近くの廊下に蹲っている。
追いかけて来たけど、どう声を掛けたらいいのか分からない。
「…とわちゃん?」
私に気付き、零斗は顔を上げている。
なんだか今にも泣きそうな顔をしている。
「とわちゃん、中村部長ともう話したりしないで…」
「…分かった。ごめんなさい」
もう二度とこの人を傷付けたくないから、
本当にもう中村春馬には関わらない。
昔の真実を聞き、再び気持ちが揺れてしまった自分を叱責する。
零斗がこちらへとやって来て、私と中村春馬を隔てるように間に立った。
「零斗、仕事の事で中村部長に相談してただけなの!」
零斗の背にそう訴えると、こちらを振り返り冷たい目を向けられた。
私の嘘だと分かっている。
「お前結婚してるなら、いちいち人の女に迄手を出すような事すんなよ!
どうせ、部長はとわちゃんの事を幸せに出来ないんだろ?」
零斗は中村春馬の胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそう。
私の知ってる零斗はとても温厚で、頭が良く仕事も出来るけど、普段はちょっと頼りない感じで。
こうやって誰かに攻撃的な所を今まで見た事なかった。
私がこの人を、こんな風にしてしまったのだろうか?
「おい!真田何やってるんだ!」
そう言ってこちらに走って来るのは、私の二年先輩の男性社員の田中さん。
この修羅場を見られた事の焦りよりも、私だけじゃ零斗を止められそうになかったので、安堵する気持ちの方が大きい。
「田中、大した事じゃないから」
そう言うのは中村春馬。
「ですが、部長…」
そう田中さんは納得行かないようで。
けど、関係のない田中さんが止めた事で零斗は少し冷静になったのか、掴んでいた手を離すと、
「…中村部長、すみませんでした」
そう言って頭を下げ、部署には戻らず逆方向に歩いて行った。
「中村部長、大丈夫ですか?」
そう訊く田中さんを横目に、私は零斗を追いかけた。
零斗は非常階段扉近くの廊下に蹲っている。
追いかけて来たけど、どう声を掛けたらいいのか分からない。
「…とわちゃん?」
私に気付き、零斗は顔を上げている。
なんだか今にも泣きそうな顔をしている。
「とわちゃん、中村部長ともう話したりしないで…」
「…分かった。ごめんなさい」
もう二度とこの人を傷付けたくないから、
本当にもう中村春馬には関わらない。
昔の真実を聞き、再び気持ちが揺れてしまった自分を叱責する。