betrayal~元彼御曹司との不倫~


「俺、とわちゃんより年下だからか、付き合っている時、全然とわちゃん俺の事を頼ってくれたりしなくて、寂しかったんだよ」

零斗にそう言われ、そうだったんだ、と気付いた。
確かに、私の方が年上だし先輩だから、仕事でもプライベートでも零斗よりもしっかりとしないといけない、と気張っていたな。

「だから、年下の三浦さんに頼られて嬉しくて。
ついつい」

「ついつい、じゃないし」

私も零斗も、今はその事をそうやって明るく話せて。
今はもう、私は零斗の裏切りを許せているのだと思った。

「俺、最近彼女出来たんだよね」

「そうなの?」

「うん。懲りずにまた職場恋愛なんだけど。
またこれも懲りずに、年上の女性で」

「そうなんだ」

「俺はそうやって頼って欲しいとか思ってるくせに。
実際は強い女性に惹かれるのかも…。
だから、年上だからとか年下だからとか関係なく、俺がとわちゃんの事をそうやって頼れなくしてたのかも」

そう言われ、考えてみる。

「確かに、零斗って弟キャラだもんね」

もしかしたら、そんな零斗に対して潜在的に、私の方がしっかりしないとこの人に嫌われてしまう、とか思っていた所もあるのかもしれない。

「とわちゃんは、中村部長のような頼れる感じの男性が似合うから」

「なにそれ?」

「相手が誰であれ、とわちゃん幸せになってよ。
良い相手居ないの?」

「居ないよ。自分が今幸せだから、元彼女の私がいつまでも一人だと寝覚めが悪いだけでしょ?」

「まあね」

そう言って笑う零斗の顔を見ながら、ありがとう、と心の中で呟いた。
そうやって私の幸せを願ってくれて。
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