betrayal~元彼御曹司との不倫~
零斗とその後も少し話し、書店を出て本社へと向かう。
古巣の営業2部には用事がないので行かないけど、
もしかしたら、バッタリと社内で中村春馬に会えるかもしれない。
そう思い、自分が浮かれている事が嫌になる。

文夢堂本社のビルが見えて来た頃。
こちらに歩いて来る中村春馬の姿が、目に入った。
相変わらずスタイルがよく、目立っている。

「久しぶり」

そう笑顔で。
私はバッタリこうやって会って驚いているけど、中村春馬はそうじゃないので、私が歩いて来る事を知っていたのだろうか?

「…お久しぶりです」

「前に、十和子のマンションで待ち伏せた時よりも驚いた顔してる。
どうせなら、隠れていて急に飛び出してもっと驚かしたら良かったかな?」

「それは辞めて下さい」

やはり、私が本社に行く事を知っているんだ。
なんで?
私が今日、本社に行く事を知っている人間は何人か社内に居るだろうけど、今日はこの人の居る営業2部は全然関係ないから。

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