18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「さあ、お茶にしましょう。奥さまはコーヒーと紅茶はどちらがよろしいですか?」
「私は紅茶で……あと、その」
いつもドキッとするし、むずがゆくなるから、私は今まで言いたかったことをようやく口にした。
「もしよかったら、名前で呼んでもらってもいいですか?」
訊ねると加賀さんは穏やかに笑って「はい」と答えた。
「では、いろはさん。冷めないうちにいただきましょうか」
「はい!」
お茶をしながら加賀さんとたくさんお話をした。
主に私が遥さんのことを訊いていたのだけど、彼女は私の知らない彼の昔話をしてくれた。
「まあ少し、変わったところもありますが、悪い人ではないのですよ」
「変わったところ……」
気になってそれを口にすると彼女は苦笑した。
「いつもおひとりで行動されるのです。家族旅行もしたことはないと思いますね。いつもおひとりでどこかへふらっと行かれて、いつの間にかお帰りでしたし」
「ひとり旅が好きなんですね」
「旅というよりも、本当におひとりで過ごされるのを好んでいらっしゃるんですよ。家族と一緒に食事をすることもあまりなかったですしね」
それは意外だった。
お見合いのときは家族仲が悪いようには思えなかったんだけど。
「それ、いつからですか?」
「中学生の頃からですよ。ちょうど弟の奏太さまがお生まれになった頃ですね」
「え……」
弟ができたのに、家族で過ごすことはなかったの?
むしろ弟ができたから?
寂しかったのかな?