18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 山下公園で海を眺めていると、大きな貨客船『氷川丸』を背景に、遥さんがスマホで写真を撮ってくれた。

 それを私のスマホに送ってくれる。


「私も撮りましょうか?」と訊ねてみたけど、彼はそれを断った。

 もしかしたら写真を撮られるのがあまり好きではないのかもしれない。


 遥さんの写真、ほしいんだけどな。

 ということは心に留めておいた。


 しばらくすると空がどんよりと暗くなって周囲に重い空気が漂ってきた。

 雨の匂いがする。

 今日の天気予報は晴れだったのになあって思う。


「降りそうだね」

 と遥さんが言った。


「私、傘持ってます」

 バッグの中にはいつも折りたたみ傘を入れているので私はそれを取り出した。


「用意がいいんだね」

 と遥さんがにっこり笑って言った。


 照れくさくなりながら小さな折り畳み傘を広げると、いきなりドーンッと雷が鳴った。


「きゃああっ!」

 びっくりして傘を落とすと同時に遥さんが私の肩を抱き寄せた。


「大丈夫。雷、怖い?」

 耳もとでひっそりと言われて雷のときよりも心臓が跳ね上がった。


 吐息が、耳に、かかって……!


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