18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 これまでの遥を見てきて、恐ろしいと思うこともあれば、時折見せる寂しげな表情に困惑することもあった。

 しかし、大人になると彼はずいぶんと落ち着いたように思えた。

 ただ、知らないところで何をしているのかは把握できない。

 それでも、響子にとって遥はまるで自分の子供のように思えて、気になって仕方がない存在になっていた。

 だから、彼から見合いをすると報告を受けたとき、心の底から嬉しかった。


 相手はまだ10代ということに衝撃を受けたが、それでも響子が安堵した理由があった。

 遥は結婚する前に、相手の写真を見せてきたのである。

 そして、彼は言ったのだ。


「加賀、見てよ。彼女が俺の奥さんになってくれる人」

 着物姿の婚約者はまだあどけなさが残るが、品のいいお嬢さまという印象だった。


「よかったですね、坊ちゃん。大切にしてあげてくださいね」

 響子がそう言うと、遥は頬を赤らめて、照れくさそうに顔を背けた。
 

「大切にするよ。必ず」

 響子はこれほど素直な遥を見たのは初めてで、嬉しくてたまらなかった。


 ああ、本当に、本当に。

 彼女のことが好きでたまらないのだ。

 そう、響子は思った。


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