18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
さすがにその言葉が効いたのか、遥さんは観念したようにため息をついた。
そして、わずかに微笑んで、私に訊ねた。
「わかったよ。いろははどうしたい?」
とても穏やかで、落ち着いた声だったので、私は安堵した。
少し躊躇したけど、勇気を出して願い出る。
「少しだけ、実家に戻っても、いい?」
遥さんを見ると、彼は何か諦めたような表情で、少し目線を下へ向けた。
「あの……別れるとか、そういうのじゃなくて、少し心を落ち着けて整理したいの。離婚なんて簡単にできるものじゃないってわかってる。だけど、私はあまりにも、何も考えずに結婚したから、これから先自分がどうしたいのかも、じっくり考えたい」
ワガママなことを言ってるってわかってる。
それでも、ここで考えを放棄したら、一生後悔するだろうと思った。
彼はゆっくりと顔を上げて困惑したような顔つきで笑った。
「いいよ。いろはがそうしたいなら、俺はもう止めない」
彼はあまりにも哀しげな表情をした。
それが、私の胸をひどく締めつける。
流されやすい私は、遥さんが行くなと言えば、きっと行かないだろう。
それなのに、彼はそうしてもいいと言ってくれた。
それは、精一杯の彼なりの気遣いだと思いたい。