18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「いろは」
遥さんが静かに私の名前を口にした。
もう何度も呼ばれているけど、心地いいなと思った。
「な、に?」
「君は勘違いだと言ったけど、俺はそうとは思わない」
「えっ……」
遥さんは手を伸ばして、私の頬に触れようとした。
きっと撫でられて、キスをされるのかなと思った。
それは拒まないでおこうと思った。
だけど、彼はそうしなかった。
「いろは、俺は君を愛している。君の幸せを心から願っている。それだけは本当」
うわ、ずるい……。
これも計算だったら、完璧だよ遥さん。
私の心を大きくグラつかせる。
そして、やっぱり別居やめますって私が言って、遥さんは計画どおり。
なとど、意地悪な想像が頭に浮かんだけれど。
彼のその言葉だけは本心だと信じたい。
「あの、ひとつ訊きたいことがあるの」
私は急に思いついたように彼に質問をすることにした。
どうしても知りたかったから。知らずにいるのはなんだか気持ちが悪いから。
「何?」
と遥さんは穏やかな表情で訊いた。
「協力者って誰なの? 学校で私の写真を撮った人は誰?」
遥さんは複雑な表情で私から目をそらす。
だから私は詰め寄った。
「教えて。今さら隠さなくてもいいでしょ」
遥さんは嘆息し、諦めたようにぼそりと言った。
「長門絢貴」
私は呆気にとられてしばらく言葉が出てこなかった。