18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
別居する前日の夜。いつものように寝室へ向かう私と書斎へ向かう遥さん。
だけど。
「おやすみの挨拶をしてもいい?」
久しぶりに、遥さんがその提案をしてきた。
最近ずっと距離があって、言葉を交わすだけだったのに。
ドキドキするけど、嫌じゃないと思って、私はその提案に従うことにした。
ただし。
「ハグ、くらいなら……」
これからどうなるのかわからないのに、安易にキスなんかできない。
きっと遥さんはしたいんだろうなって思うけど、私自身が恐れている。
キスなんかしたら、また流されてしまって私は自分を見失ってしまう。
ゆっくりと遥さんが近づいて、比例するように私の鼓動は高まっていく。
彼の手が伸びて、ふわっと抱きしめられた。
彼の匂い、彼の体温、彼の感覚。
ぜんぶ、いやじゃない。
むしろ……。
私は遥さんの背中に手をまわして抱きついた。
彼は私の耳もとで、そっとささやくように言った。
「戻ってきてくれると信じてる」
どきりとした。
それは本心なのか、それとも計算なのか、今の私にはよくわからない。
そもそも、人を好きになるってどんな気持ちなんだろう?