18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

14、生きる力をつける

「さあ、どんどん食べなさい。いろは」

 実家に帰ったら母がたくさんご馳走を用意してくれた。

 煮込みハンバーグにローストビーフ、魚介類のスープとサラダ、チーズ入りとろとろオムレツ、オマール海老のパスタ、デザートは母特製のオレンジ入りチョコレートケーキ、マカロン添え。


「こんなに食べられないよ」

 テーブルに並ぶ料理の数に驚き、そして嬉しく思った。


「いろはが帰るって言うからママは今朝から張り切って準備していたんだよ」

 父の言葉にもじわりと胸が熱くなる。

 ほんの少ししか離れていなかったのに、なんだか懐かしいなあと思う。


「遥くんは忙しいのね。長期出張だなんて大変ねえ」

 母が料理を小皿に分けてくれながら言った。

 遥さんが仕事で長く家にいないから私が実家に帰ってきたということにしている。


「ずっといてもいいんだよ」

 と父が笑顔で言った。

「まあ、縁起でもないこと言わないでちょうだい」

 と母が強い口調で言った。


 実家は居心地がいい。

 何も考えなくてもいいし、遠慮しなくていいし、何より両親の顔を見るとほっとする。

 やっぱり他人と暮らすって気を使うし、大変なことなんだなって思った。


< 173 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop