18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
父はあまり会っていないといったけど、だとしたら私のプライベートを彼が知る経緯はどう考えても母からだろう。
「ママは大人になった遥さんとも会ったりしていたの?」
「ううん、もうずっと会っていなかったわよ。お見合い話が来て懐かしいわって思ったもの。いろはと一緒に会いに行ったときにびっくりしたわね。10年ぶりくらいだと思うけど本当に素敵な人になったなあって」
「……そう」
やっぱり、父も母もあんまり遥さんのこと知らないんだ。
フォークを置いて少しぼんやり考えていると、父から声をかけられた。
「どうかしたの? いろは」
「え?」
「もしかして悩んでる? いきなり生活が変わったから戸惑うのもわかるよ」
「えっと……」
「卒業するまで待ってもらえばよかったかな」
「違うの。わたし……なんにも、できなくて……」
ああ、なぜか……こんなとき、はっきりと頭に浮かぶのは、遥さんと楽しげに話す女性の姿だ。
何もできないくせに、大人になりきれていないのに、結婚なんかしちゃったから、私は今すごく自分が恥ずかしく思えてならない。
小春や伊吹くんが自分の人生をきちんと決めているのがうらやましいと思ったのもあるけど、あれはそれ以上の衝撃だった。