18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「だって、ぜんぜん嫌そうな感じに聞こえないもん。むしろ楽しそうよ」
その言葉に私は紅茶のカップを持ったまま静止した。
由希ちゃんは笑みを浮かべながらふたつ目のフィナンシェの袋を開封した。
「えっと……よく、わかんない。これが恋愛の好きなのか……」
あんなことがあっても嫌いになれないし、やっぱり彼は推しにそっくりで素敵だし。
外で見かけたとき、彼のうしろ姿に切なくなっちゃったけど、あれはきっと自分が不甲斐ないせいだと思う。
「いや、めっちゃ好きでしょ。あんたの話、こっちからしたら完全にのろけよ」
「えっ?」
「いいなー。あたしもめちゃくちゃに愛されたいー」
由希ちゃんは両腕で自分を抱きしめるようにしてわざとらしく「きゃー」と言った。
これには大いに疑問がある。
「これ、愛されてるの? ストーカーだよ?」
すると由希ちゃんが急に真顔になって私をまっすぐ見つめた。
「紙一重よ。だって、こうやって実家に帰してくれるでしょ。めっちゃいいよ。自由だよ、あんた」
由希ちゃんの言うことにいまいちピンとこなくて、とりあえず紅茶を飲む。
すると、彼女はどこか遠いところを見つめながら言った。
「なんでもお世話してくれて、束縛もしなくて、イケメンで金持ちなんて、私がほしいくらいよ。なんなら、うちと交換する?」
驚いて衝動的に口が動いた。
「それはだめ!」