18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 勢いで言ってしまったあとで、ハッとして言いわけを口にした。


「あ……だって、由希ちゃんも彼氏さんのこと、好きでしょ?」

 由希ちゃんが半眼で私を見ていて、複雑な気持ちになる。


「冗談よ。でも、いろはのそれは本心でしょ」

「え?」

「“彼を誰にも取られたくない”」

 わざとらしく強い口調でそう言われて、恥ずかしくなった。


「そんなこと、言ってないよ!」

「はぁ……何をそんなに悩むことがあるのかなあ」

 由希ちゃんは呆れ顔でため息をつく。


「だって、遥さんはまだ私に隠しごとしてる気がする」

 由希ちゃんはチョコレートを口に入れると包み紙を綺麗にりぼんの形に結びながら言った。


「あのね、誰だって知られたくない過去くらいあるもんなの。そんなの気にしてたら誰も結婚なんてできないよ」

 由希ちゃんはりぼんの形になった包み紙をテーブルに置くと、頬杖をついて私の顔を覗き込むように見た。


「なんかあたし、いろはは別のことで悩んでいる気がする」

「別の、こと……」

「何かあった?」


 こんなことを言ったらなんて子供じみた考え方なんだってバカにされるかなって思ったけど、この前からずっと引っかかっていることを口に出してみた。


「偶然、遥さんと会社の人を見ちゃって……」

「へえ、そう。それで?」

「綺麗な女の人だった。大人の、仕事ができる人って感じで、遥さんも褒めてたし、その……うらやましくて」


 由希ちゃんは急に「やだー」と明るく私の肩を叩いた。


「かわいい! いろは、嫉妬してるの?」

「ち、違うよ!」


 どうしてそうなるのー!?



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