18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「いろははその女性に負けないくらいのいい女になりたいと思うんだ?」
その問いはあながち間違ってない気がして、静かに紅茶を飲んで落ち着かせながら答える。
「そこまではまだ考えられないけど、私は今のままじゃいけないと思う。これは遥さんが相手だからってわけじゃなくて、自分の人生のためにも、中途半端なのは嫌だって思った」
由希ちゃんはもうふざけた顔はしていなくて、妙に真剣な表情で私をじっと見つめている。
「なるほどね。いろはがそんなふうに考えられるようになったのは、ある意味彼のおかげかもしれないね」
「え? そんなことないよ」
「いいや、あるね。あたしが言ったって絶対聞かないでしょ。こういうのは身内が言っても効果はないんだから」
由希ちゃんはそう言って、穏やかに笑った。
そしてまた、紅茶を自分のカップに注ぎ、ひと口飲んでから私に訊ねた。
「それで、どうしたい?」
「うん……大学に、行こうかなと思ってる」
由希ちゃんは少し黙って、よそへ目をやりながら「うーん」と小さく唸った。
「今から受験は厳しいよ。それとも、うちの大学に行くの?」
「そうしようかと思うんだけど、内申点大丈夫かな?」
「それはあたしの口からは何も言えないわ。ただ、テスト頑張れとしか」
「……うん」
他の教科はどうにかなるとしても、数学が壊滅的だ。
「とりあえず親に相談しな。あと、旦那にもね」
「そうだね」
遥さんは、許してくれるだろうか。