18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 私は夕食のときに両親に進学のことを話してみた。

 するとあっけなくOKされた。


「いろはがそうしたいなら、僕は構わないよ。ねえ、かえでさん?」

「そう、そうね……でも、遥くんにきちんと相談してからよ」


 遥さんはなんて言うだろう?

 そんなことしなくていいって言うかな。

 いつもみたいに、優しい声で、誤魔化されるかもしれない。


 そんな思いを抱きながら食事を終えたあと、私は自分の部屋へ行って遥さんに電話をしてみた。

 一応、きちんと言いたいことを考えて、丁寧に伝えたつもりだ。

 ドキドキしながら返事を待つと、彼は静かに返答した。


『いろはの好きにしていいよ』

 意外にもあっさりとOKしてくれたので驚いた。


「本当? あの、でも……今よりも忙しくなってしまうけど……」

 遥さんはそれでいいのだろうか。

 私は妻としての役割をおろそかにしてしまうというのに。

 不安に思っていると彼は急に笑い出した。


『君はそのために帰ったんじゃないのか?』


 笑いながらそんなことを言われて私は「えっ」と声をもらした。


『自分の人生を見つめ直したいと思ったんだろ』


 な、なんで……?

 わたし、遥さんにそんなことひと言も言ってないよね?


「どうして……」

 と言葉を詰まらせると彼は落ち着いた口調で返した。


『俺が君の人生を無理やり変えたようなものだから、いつかはそう言うんじゃないかと思ったよ。だから、反対はしない』

 どきりとした。


『でも、別れる気もさらさらないけどね』


 なんだか、妙に、胸の奥がじんと熱くなった。

 やだ、何この気持ち。



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