18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
15、彼の淡い恋心
「じゃんじゃん彼氏に愛されて妄想力を強化してね」
伊吹が部室のドアを開けようとしたら、中から甲高い声が聞こえた。
この特徴ある声は小春だとすぐに伊吹にはわかった。しかし、問題はその内容だ。
秋月に彼氏がいる……?
少なからず衝撃を受けて、伊吹はその場で立ち尽くした。
すると、さらに小春のテンション高い声が伊吹に追い打ちをかけるように聞こえてきた。
「わお、デートのお誘い。いいなー、やっぱり社会人と付き合うっていいよね。大人のデートいいなあ~」
社会人……!?
伊吹は固まったまま動けなくなっていた。
頭の中が混乱している。あの真面目で男と接点のなさそうな秋月いろはに社会人の男がいるなど、信じがたい気持ちでいっぱいだった。
小春がまた妄想でおかしなことを言っているのではないかと疑った。
しかし、そのあとの返事で確信に変わったのだった。
「小春、誰にも言わないでよ」
いろはの声をはっきりと聞いて、伊吹はうつむいた。
そして、気づかれないようにそっと立ち去ったのである。