18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
伊吹は驚愕と焦りで戸惑いながら、長門から顔を背けた。
まじこいつ何言ってんだ、と胸中で狼狽えながら、混乱する頭をなんとか落ち着かせようとする。
長門はふふっと意味ありげに笑いながら、伊吹から離れた。
「青春だねえ」
のんきな声でそんなことを言う長門に、伊吹は呆気にとられて彼を見つめた。
「まあ、他人事だから何でも言えるんだけどねー」
伊吹は急激に恥ずかしくなり、またもや猛烈に顔が熱くなった。
「子供だと思ってバカにしたのかよ」
「まさか。君が本気で秋月さんを奪う気があるなら協力してあげてもいいよって話」
「なんで、生徒相手にそこまでするんだよ。意味わかんねえ」
「君のこと、結構気に入ってるから。昔の僕と似てるんだよね」
笑顔でそんなことを言う長門に、伊吹は複雑な感情を抱いた。
「さてと、君は帰る? それともまだ寝る?」
伊吹は「うるせー」と言って布団をかぶった。
「あはは、寝るんだ。ま、いいけど」
長門はそれ以上何も言わずに、デスクで作業を始めた。
伊吹はいまだ落ち着かない鼓動に悩まされながら、時折いろはのことを思い出しては猛烈に恥ずかしくなり、結局眠れなかった。