18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「おかえりなさいませ、奥さま!」

 ドア開けるとリビングから加賀さんが小走りで迎えに出てきた。


「加賀さん!」

「ああ、よかった……戻って来てくださって本当によかったですわ」

「すみません、急に出ていっちゃって……」

 少し罪悪感を抱きながらそう言うと、加賀さんはそんなこと気にしていないような素振りで答えた。


「里帰りくらいしたくなるものですよ。それに、いろはさんは大事な時期ですからね。でも、ご安心ください。いろはさんのお世話も含め、すべてのことはこの加賀が責任を持って行いますから」

 自信満々にそんなことを言う加賀さんに圧倒されながら、ふと思った疑問を口にした。


「えっと……すべてのことって?」

「いろはが次の試験に集中できるように、加賀がサポートしてくれるんだよ」

 代わりに遥さんが答えた。


「え……でも私、奥さんなのに」

「奥さまだからです!」

 加賀さんはさらに明るい声で言い放った。


「わたくしは秋月家の使用人であり、坊ちゃんの世話係でありますから、当然奥さまのお世話もさせていただきます。あ、もちろん夜には帰りますから、就寝時は坊ちゃんとふたりきりなのでご安心を」

 加賀さんが朗らかな笑顔でそんなことを言うので、なんだか恥ずかしくなった。


「加賀がいたほうが君も勉強に身が入るだろう。余計な雑念に囚われなくて済むからね」

 と遥さんがこっそり私に耳打ちした。


 うわあっ、これ……私がひとりだと勉強中に落書きしてさぼってるの絶対バレてるやつ!!


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