18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 噛みつかれたと言っても軽くて、痛くない代わりに、ぞくぞくと変な感覚がした。

 それから彼の吐息と唇が触れる感触が同時に私の耳を刺激して、体が一気に熱を帯びた。


「あっ……やだ、やめ……」

 何、なに……!?

 この感覚、知らない。


「遥さん、わたし……」

 これ以上されたらおかしくなっちゃうよ!


「体験してみてどう?」
 
 彼はひっそりと耳打ちした。

 また、私の体がびくっと反応する。


「へ、んに……なる……!」

「そう。じゃあ、もっと変になろうか」

「ふ、え……」

 今度は耳たぶにキスをされた。というか、なめられた。


「ひっ……待っ……!」

 これは、まずい。なんだか、すごくいけない気がする。

 だけど、嫌じゃない。

 体が熱くて、呼吸も乱れて、息苦しいのに心地よくて、ぞくぞくするのに快感で。

 この不思議な気持ちが何かよくわからないのに、これだけははっきりとわかる。

 もっと、ほしい!!


「いろは……」

 遥さんは少し離れて、苦笑しながら私を見下ろした。

 そこには困惑の表情も見てとれる。


「なんて表情(かお)をしてるんだ」

「え……?」

 どういうことかわからなくて、私はただ彼をじっと見つめるしかなかった。


「はぁ……無自覚か」

 遥さんは自分の額に手を当てて私から顔を背けた。


「あの、私そんなに変な顔をしてるの?」

 恐る恐る訊ねると、彼は私に目線だけ向けてぼそりと言った。


「最高にいい表情(かお)をしてるよ」


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