18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 会社において、遥はとても几帳面でかつ落ち着きのあるイメージが周囲に定着している。

 社内の女子たちは彼のことをこう噂した。

 クールなイケメン上司。

 リアルにエリートを駆け抜けてきた男。

 プライベートが謎。

 今まで付き合ってきた女性は秘書、社長令嬢、CA、アナウンサー、他美人系。


「でも、婚約者がいるらしいわ」

「もう結婚してるって話もあるわよ」

「相手は悪役令嬢っていう噂もあるわ」


 彼はまだ誰にも結婚の話をしていないし、指輪もしていない。

 なのに、噂はひとり歩きしている。

 だが、彼にとって、社内で繰り広げられる噂はただの雑音でしかなかった。


 どうでもいい話にはまったく興味がなく、それどころか彼にとって社内の女性たちは皆、じゃがいもに見えた。

 そう、背の高い女性はメークインで小柄な女性は男爵いもだ。


「秋月課長、おはようございます!」

 とても明るい声で挨拶をされたので、彼はにっこりと穏やかな笑みを浮かべて「おはよう、若葉さん」と答えた。

 相手は頬を赤らめながらとなりを歩き、本日のスケジュールなどを簡単に述べた。

 若葉朝陽は彼の直属の部下である。

 大変優秀で、何事もそつなくこなし、他の女子社員となれ合うこともなく、私情を挟むこともない。


 彼にとって若葉は、ややメークイン寄りの男爵いもに見える。


(あー早くテストが終わらないかなー……)

 遥はそのようなことを思いながら、今日もじゃがいもたちに囲まれて仕事をするのだった。


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