18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 遥が書斎から出ると、ちょうどいろはがバスルームから出てきたところだった。

「あ、遥さん。お風呂先にいただきました」

 いろはの顔を見ていると、先ほどの絢とのことを忘れられて安堵する。


「もう寝ていいよ。明日も早いから」

 遥が優しく微笑みかけると、彼女は目を泳がせながら頬を赤くして言った。


「えっと、じゃあ……あの、おやすみの、挨拶……」

 遥は一瞬戸惑って、黙り込んだ。


「遥さん?」

 首を傾げるいろはを見つめながら、彼の頭には先ほどの余計な情報が浮かんでいた。


 ――いろはちゃんを狙っている男の子がいる――

 遥は固い表情のまま、いろはに手を伸ばした。

 そして彼女の乾きたての髪に指先を入れてすくように撫でる。


「いろは」

 と彼は愛おしそうにその名を呼んだ。


 ――彼といろはちゃんはとっても仲良しなんだよ――

 遥の胸中はざわついた。

 彼は眉間にしわを寄せて、じっといろはを見つめた。

 すると、彼女はそれに怯えたのか、少し身を引いた。

 それが、遥には彼女が逃げ出すように見えたのだ。


「いろは!」

 遥は彼女の腕をつかんで抱き寄せた。

 彼女はハグだと思ったのだろう、自身も腕をまわして遥に抱きついた。


「えっと……遥さん、おやすみなさ……」

 遥は挨拶を口にする彼女の頬をつかんで力強く口づけた。


「んんーっ……!」

 不意打ちだったせいか、彼女は非常に驚いて逃れようとした。


 ――ハルはしっかり捕まえておかないと奪られちゃうよ――



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